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【フーコック ヌックマム】フーコックの特産品であるヌックマムについてまとめました

ここでは、フーコック島の特産品である「フーコック ヌックマム」についてまとめましたので、ぜひフーコック島のヌックマムに興味を持って頂きたいです。

フーコック島 ヌックマム
フーコック島ヌックマム

一般情報

ヌックマムとは魚と塩を主原料とした発酵調味料の魚醤のことです。

フーコック島(以後フーコック)の一般的なヌックマムは、フーコック近海で獲れた「カタクチイワシ」と「海塩」を大きな木桶に入れて10ヶ月以上発酵させるため、旨みが凝縮されて美味しいと評判です。

木桶を使う理由は、通気性、保湿性、素材の安全性、温度変化への緩衝作用があるため、安定した発酵ができるとのことです。

フーコック ヌックマム
フーコック カタクチイワシ
フーコック ヌックマム
カタクチイワシ塩漬け
ヌックマム
フーコックヌックマム醸造所

フーコック政府が発行したヌックマム技術規制に準拠した製品は「GI/地理的表示」認証されており、風土や伝統が育んだ特色ある地域産品として国内だけでなく国際的にも保護されています。日本では、松坂牛や夕張メロンなどとなります。

フーコック ヌックマム

フーコックヌックマムのブランド化

フーコック島政府がフーコック島の上質なヌックマムをブランド化するために「フーコック島ヌックマム技術規制 QCDP 01:2023/KG」を策定して、2024年から運用開始しました。

フーコック島のヌックマムは、材料や工程が幾つも細かく定義されています。以下、代表例。

・魚:指定された地域(フーコック島近海)で採れたカタクチイワシを85%以上使用していること

・塩:指定された地域(ブンタウなど)の海塩であること

・木桶:Boi LoiやVen Venなどの指定された木材であること

・製造工程:漁獲から出荷までフーコック島で一貫生産され、トレサビリティー(追跡)管理ができること

ヌックマム
フーコック ヌックマム認証マーク
ヌックマム
木桶ごとの製造ロ番号
フーコック ヌックマム
木桶に貼られた製造番号

フーコック島のヌックマムを買う時に「フーコック ヌックマム認証ラベル」「製造ロット番号ラベル」が貼られているか、一つの判断材料となります。

フーコックヌックマムの技術規制

「技術規制 QCDP 01:2023/KG」と「ヌックマム製品の管理1401/QD-UBND」から抜粋

【原材料】

◉魚

フーコック ヌックマムの製造に使用される魚は、タイ湾のキエンザン海域とカマウ海域のフーコック島近海で、Stolephorus commersonii(カタクチイワシ科ヤエヤマアイノコイワシ)でなければならない。

  • 科名:カタクチイワシ科
  • 種名(学名):Stolephorus commersonii
  • 種名(和名):ヤエヤマアイノコイワシ
  • 種名(英語名):Commerson’s anchovy
フーコック ヌックマム
フーコック カタクチイワシ

フーコックのGI認証されたヌックマムは、醸造原料中のカタクチイワシの割合が85%以上であること。

◉塩

使用される塩はブンタウやファンティエットで生産された海塩、または同等の品質の塩であること(国家規格TCVN 9638:2013)。この規制に加えて、GI認証された製品で使用される塩は、1401/QD-UBND の第 7 条第 2 項の規制に準拠する必要がある。

ナトリウム調整のため、最低60日間保管して使用すること。

◉水

製造に使用される水は、国家技術規則 QCVN 01-1:2018/BYT に従った品質を満足しなければならない。

【製造工程】

製品は製造過程において規定に従って管理され、トレーサビリティが確保されていること。

発酵、抽出、調合、瓶詰めのプロセスはキエンザン省フーコック島で行われなければならない。

  1. 漁獲:カタクチイワシの漁獲
  2. 洗浄:漁獲後、船の上ですぐにカタクチイワシを洗って不純物を取り除く。
  3. 塩漬け:船の上でプラスチックコンテナに2.5〜3:1の割り合いでカタクチイワシと海塩を混ぜて、その上に3 – 5cmほど塩を被せて蓋をする。
  4. 木桶で発酵:木桶に原料と入れてその上に塩を3 – 5cmほど被せて7日間保管して余分な水を切り、布などを被せて木材でしっかり圧縮して、自然環境下かつ屋根付きの醸造所で少なくとも12ヶ月以上発酵
  5. ヌックマムベースの抽出:ヌックマムに細かな粕が無くなるまでヌックマムを木桶に戻し再抽出(「Cốt Nhỉ」「Cốt」)。
  6. 調合用ヌックマムの抽出:ヌックマム粕に飽和食塩水や低タンパク質ヌックマムを加えて三段階の調合用ヌックマムを造る
  7. 調合:ヌックマムベースと調合用ヌックマムを混ぜて味や風味を調整(ヌックマムベースのみの製品もある「Cốt Nhỉ」もしくは「Cốt」)
  8. 味の調整:砂糖を入れて味を調整(GI製品は不可)。保存料や合成香料などは添加してはならない。
  9. 検査:官能検査(外観、匂い、味)と物理検査(総窒素含有量、アミノ酸窒素含有量、アンモニア窒素含有量、塩化ナトリウム含有量、pHレベルをホーチミンの測定機関でサンプリング測定)
  10. 梱包/出荷:GI商品は「フーコック ヌックマム」「製造ロット番号」「GI認証」の3つのラベルを貼る。
フーコック ヌックマム
ヌックマム 漁船
フーコック ヌックマム
木で圧縮(説明用模型)
フーコック ヌックマム
木桶からヌックマムを抽出

【木桶】

◉木材

ボイロイ(Bời Lời)、ベンベン(Vên Vên)、ホ ファット(Hộ phát)、チャイ(Chay)、クイン(Quỷnh)、メ ディエック(Mè điếc)、サオ(Sao)、または害虫被害を受けにくい同様の特性を持つ木材であること。

◉タガ

フーコックの桶で以前よく使われているのはフーコックのメイ(Mây/ヤシ科)ですが、最近ではカンボジア産が使われています。メイの長さは最長15mのものも。

◉塗装

木桶の外観目的で、ポリウレタン樹脂にTraiの木のチップ混ぜ込んだ塗料を木桶の外側に塗装します。特に観光客に見せる木桶に塗装されており、色合いはヌックマム会社の社長好みで異なるとのことです。ちなみに日本では塗装しません。

【分類】

フーコックのヌックマムは、官能基準や物理指標によって次のグレードに分類される。

  • 特製ヌックマム
  • プレミアムヌックマム
  • グレード1のヌックマム
  • グレード2のヌックマム

ヌックマムのお土産

フーコック ヌックマムは、醸造所だけでなくスーパー(King Kong Martなど)でも購入することができます。

ヌックマムを買う時には、味の決めてとなる製品ラベルに記載されている2つのポイントを確認することが重要です。

  1. タンパク質の度数(うま味に関係)
  2. 「Cốt Nhỉ」もしくは「Cốt」がラベルに記載されているか?(塩気やタンパク質の度数に関係)
フーコック ヌックマム
ヌックマムの陳列

タンパク質の度数

同じカタクチイワシであっても時期や場所によってタンパク質が異なり、タンパク質が低いとうま味が少なくなります。また製品によって塩水を加えて味を調整しているものがあり、その塩水によってタンパク質の度数(うま味)が低くなります。

「Cốt Nhỉ」もしくは「Cốt」の意味

何も加えていない(調整前の)ヌックマムのベースのこと。この表記がないものは、味調整のためにヌックマムベースに塩水を加えているため塩気が強く、タンパク質の度数(うま味)も下がります。

フーコック ヌックマム
タンパク質の度数
フーコック ヌックマム
タンパク質の度数と「Cốt Nhỉ」の表記
フーコック ヌックマム
「Cốt」の表記

日本人の口に合うのは、あっさりとして旨みが口に残るタンパク質が42 – 45度のヌックマムとなります。タンパク質が40度以下のヌックマムは塩気が強くなり、まったく味が異なります。ベトナム人は、料理に合わせてヌックマムを使い分けています。

フーコック産でないヌックマムは、工場でタンパク質を追加している製品があるとのことです。また大量生産のために発酵期間が短かくして添加物で味を調整しているものが多いです。

*タンパク質が豊富と言うことは、うま味成分のグルタミン酸が多く含まれているということです。特に、魚や肉、大豆などのタンパク質が豊富な食品には、グルタミン酸が多く含まれています。

日本にフーコック島のヌックマム持って帰るならば、これらの小瓶の製品がオススメです。

*通常は100ml以下ですと飛行機で持ち帰れますが、ベトナム航空は機内預けも機内持ち込みもできません。

フーコック ヌックマム

味の比較

小さいサイズのフーコック ヌックマムの味比較をしてみました。

評価サンプル

左から、

  1. Phung Hung:タンパク質45度、Cot Nhi
  2. Lien Hiep:タンパク質43度、Cot
  3. Dai Duc:タンパク質43度、Cot
  4. Khai Hoan:タンパク質43度、Cot
  5. Khai Hoan 3年熟成:タンパク質45度、Cot
フーコック ヌックマム
フーコック ヌックマムの比較

評価

数字は順位です。1が高く、5が低い。

塩気の場合、1だと塩辛く、5だと塩辛くないとなります。

結果

どれも美味しく、ベトナムで通常使われているヌックマムよりもクセやキツさが抑えられていて美味しいです。

フーコック ヌックマム
フーコック ヌックマム比較表

一番日本人の口に(日本料理にも)合っているのは①Phung Hungで、ダシ醤油に近いと感じました。注ぎ口が樹脂で覆われているため、カッターで切らなければいけないのがマイナス点。

反対に一番味がキツイと感じたのは、③Dai Ducの製品でした。

ベトナム料理やアジア料理に使うならば、この中では②Lien Hiepか④Khai Hoanがオススメです。

料理

アジア料理:ガパオライス、トマトとタマゴの炒め物、グリーンカレー、フォー、空芯菜炒めなど

日本料理:焼きうどん、茹でオクラ、納豆、ポテトサラダ、ソーメンのつけダレなど。醤油にダシとして少量加えるとダシ醤油として使えます。特にクセが強くないPhung Hungが使いやすいです。

その他の情報

◉漁船

朝出発してその日に戻る船もあれば、1ヶ月ほど戻らない船もあります。

◉上質な時期

9月と12月はタンパク質豊富なカタクチイワシが漁獲できるとのこと。魚の質が、ヌックマムの質に一番影響するとのことです。

◉残り粕

フーコックの農家(胡椒農園など)が肥料として使用されています。

◉ベトナム中部のヌックマム

漁獲後は塩漬けしないで魚を乾燥させ、木桶での発酵期間は5〜6ヶ月とのこと。

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